「本当なんです。私,見たんです。信じてください!」
サスペンス映画・ドラマとかを見ていれば,よく出てきそうな台詞ですが,別に映画やドラマの話をしたいのではなく,人の知覚には錯覚が一杯ということです。
例えば,物を見るという行為一つとっても,我々は外界を正確に把握していると思いがちですが,我々が見ていると感じているものは,目から入った刺激を頭の中で再構成したもののようです。知覚心理学では,「見ることは考えること」と言われるそうです。見ることですらこうですから,人の記憶なんてさらにあやふやです。昔,トータルリコールなんて映画がありましたが,知覚心理学では,人は体験したこともないことを体験したと錯覚することも実験で確認されています。また,確証バイアスの問題もあります。
弁護士の仕事をしていると,結局,本当のところはどうなんだろうと思わせられる場面が沢山あります。人の知覚には錯覚が一杯ですから,先入観にとらわれず,反証の可能性を検討する癖をつけたいものです。
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