なかなか考えがまとまらない問題について,全然別のことをしているときに何気に妙案が思いついたという経験は,誰しもあるのではないしょうか。心理学的には,考え抜いた後の問題については,そこから離れても思考が無意識に(潜在的に)進行しているのではないかと言われています。でも,当人は無意識ですから,ひらめいたという感覚になるようです。思考が無意識に進行しているのですから,普通であればその問題解決のために意識(注意)を振り向ける必要があるのにそれが必要ないということになるでしょうか。もしそうだとすると,何だかお得な気分になります。
弁護士業務も典型的な仕事ばかりではなく,事件の処理の仕方について頭を悩ませることが多いです。ひらめきが潜在的な思考継続の果てにある可能性については最近まで知らなかったですが,経験的にひらめきまでにはある程度の時間がかかることは分かっていたので,仕事のとりかかりは前倒ししていくことが多いです。逆に面倒だからといって後回しして締め切り直前になって行っても,クオリティはそこそこのものになってしまうのでよくなさそうです。
最近読んだ心理学の本の中に興味深いテーマがありました。それは,選択肢が多ければ多いほど幸せなのかという問題。選択肢が増えれば増えるほど,それだけ可能性が広がるわけで,いいことに決まっているじゃないか,選択の余地がない人生なんて考えただけでぞっとする,という予測・感想もあるでしょう。でも,そう単純ではないという話です。
例えば,買い物を想定した場合,商品に選択の余地がないことは最悪ですが,選択肢が増えすぎるのも自分の選択の満足度を下げてしまうのだそうです。これには色々な要因があるようですが,そのなかには,最高の物を追い求めようとする姿勢や,他人との比較があるのだとか。欲求もほどほどにしておくのか肝心,というところでしょうか。
夕刊三重新聞社から取材を受けました。