top of page

自信満々

 例えば,自信たっぷりに「この人が犯人です」という人がいれば,たいていの人は,その人が犯人なのかと思ってしまうのではないでしょうか。「自信があるのだから,それは記憶が正確であることの裏返しではないのか」,私も心理学を学び始めるまでは,そのように考えていました。

 しかし,心理学では,自信が記憶の正確性が担保するとは考えられていないようです。確かに,本人が意識しようがしまいが,時間とともに忘却することは避けられません。また,時間がそれほど経過していないとしても,そもそも,人の覚え方は,機械のようにありのまま記録するというものでもありません。しかも,誤った事後の情報によって記憶が歪められることもあるのに,本人はそのことに気づくことすらできません。

 弁護士としては事件の方針を決める際に立証の見通しを考慮する必要があります。人の記憶は当てにならない,これを前提にして慎重に判断していきたいです。

最新記事

すべて表示

より取り見取り

最近読んだ心理学の本の中に興味深いテーマがありました。それは,選択肢が多ければ多いほど幸せなのかという問題。選択肢が増えれば増えるほど,それだけ可能性が広がるわけで,いいことに決まっているじゃないか,選択の余地がない人生なんて考えただけでぞっとする,という予測・感想もあるで...

行きつ戻りつ

最近,本を読んでいて,なるほどなあと思ったこととして,書くことによる知識の変革,というものがあります。弁護士という職業柄,文章を書くことが多いので,非常に興味深い内容でした。 それは,文章を書く過程というのは,表現したいことに合わせてぴったりとした表現を選び,あてはめていく...

Comments


bottom of page