人は感覚器で捉える情報をすべて脳内で詳細に処理しているわけではないそうです。経験的にも,そう言われればそうだなあと思います。感覚的には,もしそんなことをしていたら,頭が爆発しそうな気がします。
実際,人は,効率的な認知のために,情報の取捨選択をしているのですが,その情報の取捨選択機能を「注意」というそうです。ただ,ここで重要なことは,人は,注意の外にある対象をほとんど認知できていない,ということです。タイトルの「見えないゴリラ」とは,視覚情報に関するもので,見えているのに気付かないことがあることを明らかにした実験のことです。よく報道で振り込め詐欺の被害を聞きますが,「注意」という観点からみると,あれは被害者を慌てさせるなどすることによって,注意の範囲を狭めさせていると理解することができます。
相談者の中には,自身に不利な内容の書面に署名してしまった後に,どうしたものか,と相談に来られる方がいます。トラブルになると慌てたり,感情的になったりするのが普通なので,普段なら「注意」して気付くところも,「注意」の範囲が狭くなるため気付かずに見過ごされる可能性が高くなると思います。一旦文書が出来上がってしまうと,それが重視されてしまいます。即断せず,周りの人に相談することが大切だと思います。
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