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もう一人の自分

 何だかミステリアスなタイトルになってしまいましたが,皆さんは「メタ認知」という言葉をご存じでしょうか。これは,認知している自分を認知するという姿勢のことだそうです。認知している自分すらも冷静に観察している自分がいるというイメージなので,私は「もう一人の自分」だと思うのです。

 普段,我々は直感的に考えがちです。その方が効率的であるし,それでいて,大抵のことは問題なく処理できているからです。ただ,重要な判断を要する場合には,注意が必要です。なぜなら,直感的な思考は,簡略化された思考なので,論理的ではなく,その場しのぎの不適切な結論を導くこともあるからです。そこで有効なのが「メタ認知」なのです。それは,確実な情報に基づいて論理的に思考しているかについて,意思決定に至るプロセスを意識的に吟味する,ということです。言葉にすると簡単そうですが,バイアスの盲点も手伝って,「もう一人の自分」を共存させるのはそう簡単ではないと思います。

 相談を受けるにあたり,相談者の気持ちには十分に配慮するように心がけています。しかし,中には,相談者の希望がその場しのぎのものでしかないと判断される場合もあります。その場合には,迎合することはせず,私の考えをはっきりと伝えるようにしています。もちろん,それに至る理由もしっかり添えて。

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