錯誤相関と確証バイアスの連携ループの話です。
我々は普段直感的にものごとを判断していることがほとんどです。もっとも,その直感というのは,意識的かどうかはともかく,その人なりの経験をベースにしているでしょうから,日常生活を送る上で不都合が生じることは多くないと思います。
しかし,直感的ゆえに科学的には前後の因果関係に誤りがある場合があり,それで間違った信念を形成してしまうことがあります(錯誤相関)。そして,ここに知覚のトップダウン的な思考が加わると,厄介なことになります。我々は,世界を受動的に把握するばかりではなく,予期を持って対象を確認・解釈する能力も持っているようです。この知覚のトップダウン的な思考自体は必要な能力ですが,ここではこれが働くことによって,例えば,自分の信念に沿った情報ばかりに目を向け,反証となりうる情報に注意を払わなくなるそうです(確証バイアス)。そして,それによってさらに誤った信念を強化することになり,ついにループが完成してしまいます。
相談者の多くは自分が正しいと思っています。しかし,それは,確証バイアスによって不都合な事実を意識していないからかもしれません。当事務所では,最初の段階でできるだけ時間をかけ,相談者から広く話を聞くように心がけています。そして,不都合な事実についてもはっきりと指摘し,安易に相談者に迎合するようなことはしていません。そんなことをして,もし相談者がループに陥ってしまったら,後々に相談者を説得するのが大変ですから。
Comments