top of page

 例えば,自信たっぷりに「この人が犯人です」という人がいれば,たいていの人は,その人が犯人なのかと思ってしまうのではないでしょうか。「自信があるのだから,それは記憶が正確であることの裏返しではないのか」,私も心理学を学び始めるまでは,そのように考えていました。

 しかし,心理学では,自信が記憶の正確性が担保するとは考えられていないようです。確かに,本人が意識しようがしまいが,時間とともに忘却することは避けられません。また,時間がそれほど経過していないとしても,そもそも,人の覚え方は,機械のようにありのまま記録するというものでもありません。しかも,誤った事後の情報によって記憶が歪められることもあるのに,本人はそのことに気づくことすらできません。

 弁護士としては事件の方針を決める際に立証の見通しを考慮する必要があります。人の記憶は当てにならない,これを前提にして慎重に判断していきたいです。

 仕事柄,書籍を購入することが多いですが,電子書籍の形で購入したことは全くありません。すべて紙の本で購入します。一番の大きな理由は,私にとっては,ペラペラと頁をめくれる紙の本の方が,調べものには効率がよいのです。それに複数の本を同時に開きながら読み比べるということも多いので,今のところは電子書籍という選択肢はありません。

 もっとも,最近は,法律書もデータベース化されてきているようなので,情報の検索という意味では,紙の本を上回るのだろうと思います。ただ,個人的には,紙の質感や頁をペラペラとめくっている感覚が非常に心地がよいので,紙の本との縁は切れそうにありません。

 先日,裁判所に出廷するため,三重県伊賀市に行く機会がありました。

 そのときに目にした駅の看板・・・「え?忍者市駅???上野市駅じゃなかったっけ?」としばらく呆然と見てしましました。

 ここは伊賀鉄道といい,以前は近鉄線だったのですが,伊賀市が公有民営方式で経営をはじめてから,「忍者市駅」と「忍者線」となったようです。たしかに,駅の構内に忍者の手裏剣のシールや忍者人形が至る所に配置されており,「さすが忍びの里」です。



1
2
bottom of page